高校数学マスター基本方針 ~高校数学で考える力を身に付けるために~

【目次】
1.高校数学マスターの目標
1-1.数学の苦手な人、成績の上がらない人へ
1-2.より良い努力を引き出すこと
2.学力に種類はあるのか
2-1.目標設定の大切さ
2-2.目標の優先順位
2-3.研究、応用、受験で必要な学力の違い
2-4.本サイトの養成する学力
3.考える力を身に付ける
3-1.具体的な目標
3-2.苦手克服には疑問を持って遡ること
3-3.勉強方法の本質的なコツ
4.受験勉強の方法
4-1.受験勉強のコツ
4-2.計画と勉強量の重要性
4-3.科目ごとの適切な勉強法
4-4.伸び悩んだら受験対策よりも基礎学力
5.本サイトの内容
5-1.参考にする教科書
5-2.各ページの解説方針と活用法

高校数学マスターの目標

数学の苦手な人、成績の上がらない人へ

ある友人が、教育の基本は成功体験を与えることではなく、努力の大切さを教えることだと語ることがありました。私もまったく同感して聞いていました。高校数学マスターの読者は、高校生には限りませんが、高校生が読者の一定数を占めるだろうと思います。そうすると、高校生にとって一番気がかりになるのが大学受験であり、大学受験のために数学を勉強しているという読者が大半になるのではないかと思います。そのような状況はよく理解できますが、私の友人の言葉を当てはめると、たしかに目先の受験対策も大切ですが、将来に本当に役立つ基礎学力を身に付けられるよう一生懸命に努力できることの方が、大学受験よりも大切なことであると言えるだろうと思いますし、私は実際にそう思います。基礎学力なしで大学受験のための小手先のテクニカルなことに終始してしまうと往々にして成績は伸び悩み、受験も上手くいかない場合が多いばかりか、将来的な伸びしろや可能性も狭めることに繋がってしまいます。数学が苦手だと思う人、何度反復して問題集を解いても成績が上がらないと感じている人、そんな人ほど、いったんその教科書や問題集を置いて、この高校数学マスターを読んでみて頂きたいと思います。そうすれば、自分の勉強方法の何が間違っているのか、自分に何が足りないか、それらが広い視野から自ずと見えてくるはずです。

より良い努力を引き出すこと

人生、何が成功かはそれぞれの価値観により、その成功の可能性を高めるために学力がどれだけ役に立つか。それは難問ですが、答えのない問題でもありません。多くの人にとって、学力以上に学ぶべきことがあり、同時に学力が社会的な成功を後押しすることにもなります。日本人に学問をすすめた福沢諭吉は、勉強は利益を考えずに取り組むべしとの趣旨のことを語っています。それは目先の成功ほど人の視野を狭めさせるものはないからでしょう。学問は視野を広げるために行うもので、勉強をして視野が狭くなるほど不幸なことはありません。歴史を振り返れば、学問や勉強の目的を真実探究の一点においた人々以上に、成果を上げた人々はいないように思います。そのような人々は目先の利益に囚われず、思い込みも少なくコツコツと様々な努力を尽くすことができるからこそ、長期的にみると、結局は成功を掴むことができるのではないかと思います。

たとえ福沢諭吉ほどに、無私の心で学問に取り組めないとしても、もし、何年も勉強して目標の大学に受かり高いお金を払ったにもかかわらず、仕事でまともなプレゼンができない、文章の理解が不足してしまう、では、国語を勉強してきた意味はあるでしょうか。海外に行って英会話ができない、仕事で必要な文献を読みこなせない、では、英語を勉強してきた意味は本当にあるのでしょうか。仕事で必要な数学が分からない、応用するチャンスすら理解できないで逃す、では、数学を勉強してきた意味はないのではないでしょうか。自分の狭い視野に拘泥して、中途半端に勉強しただけであれば、往々にしてそのような残念な状況に直面します。ただ、逆に、そのような場面に出くわさない人などいないとも言えるかと思います。必要とされる時に使えるように、そんな学問の活用ができなければ、学歴だけ残ったとしても大いに残念なことです。何にでも得意不得意はありますがそれを知るのも勉強と考え、もし取り組むのであれば、自分の当面の目標をしっかりと描いて、頓挫しないように真面目に努力を積み重ねることが大切です。

そしてそれ以上に、本当は将来何が必要とされるのかは誰にも分からないのですから、福沢諭吉の言う通り、より良いものを求めて、何でも勉強してやる、とにかく努力が好きだという人がやっぱり一番伸びていくのだと思います。そのため、細かな目標よりも、より良いものを求める気質であったり、努力を惜しまない性格であったり、そのような良い性質を身に付けられること、それ自体を最大の目標に設定すべきであろうと思います。高校数学マスターは、読者の知的好奇心を刺激して、そのような読者の地道な努力を引き出すことのできるようなサイトでありたいと考えています。

学力に種類はあるのか

目標設定の大切さ

よく言われる話ですが、日本人は平均の学力は高いがトップレベルの学力を比較するとそれほど優秀ではないと。たしかに、新聞やテレビで見聞きする他国民の平均的な学力の印象に比べると、日本人の平均的な学力は見劣りしないように感じますし、一方でトップレベルの研究の成果を見聞きすると大変優秀な先生方が沢山いることは分かりますが、それが先進諸国をリードする立場にあるというよりは、やはり追い掛けて伸び悩んでいるという印象を拭えません。では、このことが仮に正しいとすると、何が原因であると言えるでしょうか。私には、知的才能がないとか、努力が足りないとか、そういうことではないと思えます。日本人の地頭はそれなりに優秀であるとも感じますし、努力で言えば、かなり努力が得意な方であると胸を張ってもよいと思われます。では、何が足りないのか、というとそれは文化的なレベルから人々が関心を持っていること、あるいは、互いに求め合っている成果や能力が、先進諸国のそれに比べて異なり、残念ながら学問的成果を上げるという意味では劣った目標設定となっている、そこに原因があると感じます。その目標設定が悪いために教育で伸び悩み、研究やその環境も劣ってしまうのだと思います。

私は、問題解決の目標に応じて学力には種類があると思っています。例えば、ただ計算が早くなることを目標とすれば、大学で数学を学ぶよりもそろばん塾に通って一生懸命にそろばんを弾いた方が良いわけです。同様に、ただ受験合格を目指すのであれば、大学で数学を学ぶよりも予備校に通った方が近道でしょう。たしかに、それらには必要とされる能力として重なる部分があるのですが、重ならない部分も多くあるのです。人は目標に向かって努力するのですから、その努力によって育まれる能力は目標に最適化される、そう私は思います。だから、目標設定こそ要であるとも思います。そうすると、数学の学力と言った時に、数学を研究して新発見をする能力、数学を応用して社会に役立てる能力、数学を試験などで競い合う能力というのは、その目標が互いに異なるので、それぞれ重なり合いますが、やはり学力としてイコールではないと感じるのです。

目標の優先順位

例えば、よく言われるように受験制度や競争が問題か、というと制度は人が求めて作られるものですから、より本質的な問題はやはり、文化的なレベルから人々が関心を持っていること、にあると思います。学問における最良の目標設定が何か、と言えばそれは簡単なことで、社会に最もインパクトがあるのは、技術の社会的応用でもなく、まして個人の受験合格でもなく、学問の特に科学の新発見なのですから、本来、勉強の目標は受験合格でもなく、経済的な実現でもなく、真実の探求に置くことが最良であるはずです。けれど、受験合格しないと、仕事に繋がらないと、という気持ちは良く分かりますが、それはそれで大切なこととして脇に置いておいて、制度の枠内において優先順位として真実の探求を勉強の目的としてできるだけ多くの人が持つことが大切で、そうすれば制度も時期に変わっていくのだろうと思います。このことは決して、目の前の目標に対する努力を怠って良いと言っているわけではなく、目標には軽重を付けて、目の前の目標よりももっと高い目標を持って努力を尽くすことが大切であると述べているつもりです。実際に、高い目標を持って努力している人がその成果を得ていなかったり、まして後悔している姿を今まで私は一度も見たことがないように思います。

研究、応用、受験で必要な学力の違い

では、具体的には、学力を大雑把に研究、応用、受験に分けたとして、各場面で求められる能力はどのように異なるのでしょうか。例えば、研究する能力には、科学的な真理を探究しょうとする強い意志が必要ですし、既存の知識を批判的に考察する能力も必要とされます。さらに、独創性、論理性も高いレベルで他よりも強く求められるということは、大哲学者、大数学者、大物理学者の伝記をいくつか読めばすぐに了解できることであろうと思います。次に、応用する能力には、大学者ほどではないけれども、探求心や批判精神、独創性や論理性が必要なことは言うまでもないですが、大学者がそれ以外を捨てて、時に時事的な社会性を捨てるのに対して、社会的な成果をいかに上げるのかということに対する強い意志、時に真実よりも成果に対する柔軟なアプローチが必要とされるのではないかと感じます。

そして、受験に必要な能力ですが、もちろん、以上に挙げた能力も必要とされますが、多くの場合、試験範囲は固定されているので、その指定された範囲の問題について反復をして習熟された処理能力を身に付けることが、研究や応用においても基本的かつ重要な能力ですが、大きな比重を占めると思います。さらに、受験問題は人が長年にわたり同じような範囲の中で繰り返し作成するものですので、恣意的な問題が多く生じる場合もあり、それらに対しても疑問をあまり持たずに対応できる素直さも必要になると思います。加えて、受験はルールの決まった点数競技の側面があるので、スポーツやゲームのように他者との競争を楽しめる人の方が適しているだろうと思います。社会的な競争のように人や環境に左右される複雑な要素が多くあるわけではないので、労働や市場における競争というよりも、どうしても狭い範囲での競争、つまり、スポーツやゲームに似たものにならざるを得ないとも感じます。したがって、あまり受験に執着しすぎると、その後の研究や応用、仕事にも有益にはならないだろうと思うので、受験は自分の能力の範囲内でアプローチし、その後の研究、応用、仕事に対応できるより普遍的な能力を磨くことに時間を費やすことが賢明なのではなかろうか、とやはり思います。

本サイトの養成する学力

私としては、多くの数学教育が受験勉強に偏るなか、研究、応用、受験、この三者に通用する能力をバランスよく鍛えてもらうためにこの高校数学マスターを作りたいと考えました。数学の基礎についての習熟された処理能力から論理性あたりまでは、受験勉強の実力そのものと言って良いと思いますし、数学が苦手であったり、伸び悩む読者の大多数に足りないと思われるのが、基礎の反復練習と論理性、この二つのどちらかだろうとも感じます。さらに言えば、習熟された処理能力や論理性を身に付けるには、探究心や批判精神が土台となるであろうことを考えても、高校数学マスターで解説することを理解して前二者に通じる能力の養成に取り組むことは、翻って受験にも万全に備えるだけの実力を養成することに繋がるだろうと感じます。

考える力を身に付ける

具体的な目標

以上の説明から理解して頂けるものと思いますが、高校数学マスターでは、高校数学の習熟された処理能力とともに、高校数学以外の学問にも必要とされる論理的に物事を考える能力、加えて、その土台となる真実を探求しょうとする姿勢や疑問を持って取り組む姿勢を身に付けてもらえるようなサイトを目指しています。

具体的には、主に「合理的に物事を考える方法」「論理とは何か、命題、集合と推論規則について」の2記事でその考える力の内容を説明し、各解説ページでその実践を行っていますが、例えば、数学が苦手であったり、伸び悩んでいる人の多くに見られる勉強方法の問題点について、簡単な指摘をここでは一つだけしたいと思います。

苦手克服には疑問を持って遡ること

上記ページでは、考える力の基本の一つに疑問を持って取り組む姿勢を挙げ、そのことについても詳しく説明しています。数学が苦手であったり、伸び悩んでいる人には、この疑問を持つ力が足りていないと見られる人が多くいるように感じます。数学は、学問の中でも特に前提を積み上げて理論を展開していくことを鉄則としているので、前の段階の知識がきちんと理解され習熟の域に達していないと、次の段階に進むことのできない知識の構成を非常に多く持っています。したがって、途中から何度も反復を繰り返したからといって理解が深まっていくという可能性はほぼないと言えます。ちなみに、適当な段階における反復による習熟の必要性を否定しているわけではまったくありません。

そして、既存の学校教育は集団授業の中で、個々人の習熟度を判別しながら指導を行うということができないので、前段階の理解が薄いにも関わらず、永遠と理解できない段階の授業を受け続けなければならないという悲しい状況に陥る学生が多く生まれます。これは、学校教育を終えた後の大学受験でつまづく既卒生にも同様のことが言えます。このようなときに、疑問を持つ力がある人は、自然と自分の分からないことに疑問を持ち、自分の分かるところまで遡っていきます。そして、自分の分かるところから復習を始め、理解を積み上げて、いつの間にか「今」必要とされる段階を通り過ぎていきます。つまり、疑問を持つ力がしっかりとある人は、どんな出発点からでも自分のペースで前進できますが、そうでない人はいつでも数学が理解できなくなる危険性をはらんでいる、と言えるのです。

勉強方法の本質的なコツ

このような勉強方法の本質的なコツを「合理的に物事を考える方法」「論理とは何か、命題、集合と推論規則について」の2記事では詳しく説明していますので、各解説ページを読み始める前にこの2記事の内容を自分のできる範囲で良いので理解することをお勧めします。そうすれば、学力の基本となる考える力が十分に身に付き、たとえ独学でも勉強を進める方法も分かり、どのような環境においても勉強は捗っていくだろうと思います。高校数学は、現代の数学、科学、ひいては社会の基本となっています。そのまま活用できる範囲も大変広く、きちんと身に付ける価値の大きい知識と言えます。高校数学マスターでは、高校数学の知識に習熟するとともに、それらの知識と切っても切り離せない「考える力」を、なぜ切っても切り離せないのかという根本から解説し、身に付けてもらえるよう取り組んでいます。

受験勉強の方法

受験勉強のコツ

それでは、受験勉強のコツについても少し触れておきたいと思います。受験の目的は基本的に合格ですから、ただやみくもに勉強するのでは非効率です。最近では、多様な入試形態が導入され、一概に筆記試験のみで合否判定がなされるわけではありませんが、どのような試験にしろ何を求められているのか、どのような能力を求めているのかをきちんと理解することが出発点です。その上で、筆記試験であれば、受験合格は総合点で決まりますので、もしも、数学だけが試験科目であるなら別ですが、大抵の場合は複数科目が試験科目となりますので、どのような点数配分で合格ラインを超えるのかを想定して勉強計画を立てるべきでしょう。その際に、自分の好き嫌いではなく、できるだけ他の受験者と差を付けられる自分の得意科目を見つけ、重点的にその科目の勉強に時間を配分すると効率が良いのではないかと思います。ただし、その際には、科目の特性や自分の能力も考えて、安定して得点を取ることができるのかも考慮するべきです。つまり、試験の成績が乱高下を繰り返すような科目は得意科目とみなすべきではないということです。その点、英語は比較的得点が安定する科目かと思いますし、数学も得意になってしまえばやはり比較的得点が安定しやすい科目とも思います。

計画と勉強量の重要性

受験が近づいてきた時期には、過去問対策(分析する、反復して解く)、弱点補強(過去問対策で見つけた弱点)、総復習(習熟度を落とさない)の繰り返しになってくるかと思いますが、その前に、やはりどの科目であっても基礎から積み上げた学力こそが試験結果に反映されると思うので、受験勉強を慌てて始めることのないように、勉強の仕込みはできるだけ早い時期からじっくりと行うことが何よりも重要であると思います。どんなに天才だなあと思う人でも、よく話を聞いてみると幼児期から着実に勉強を仕込んできた人がほとんどで、何も勉強しないで試験の点数が良いという奇跡的な人に出会ったことはまだありません。超難関の大学学部に合格する人のほとんども、とてもそんなに沢山勉強できない、と思わされるほどの勉強量をこなしている人が多いように思います。つまり、個々人の能力はたしかにありますが、その目標に応じて長期的かつ短期的な期間におけるそれなりに必要な勉強量があると思います。個々人の事情によるところも大きいですが、時間は有限ですので、どのくらいの時間を勉強にあてる必要があるのか、あてられるのか、ということも少し意識をしながら取り組むと良いと思います。

科目ごとの適切な勉強法

上記のように、勉強計画や勉強量も大事ですが、各科目の特徴を捉えた勉強法を行うことも大事だと思います。例えば、国語であれば語彙を増やすことが必須ですし、古文や漢文であれば加えて文法の理解も重要です。加えて読解力や作文力を付けるには、良書を読んだり、教師と議論をしたり、高校数学マスターで学ぶような論理性を身に付けることも大切になります。古文、漢文、英語については異なる文化的背景を理解することも大切でしょう。英語ならば暗記は必須として、リスニングやスピーキングは実地の訓練がなければ伸びないので、海外留学はできなくともある程度の文法を理解したら、映画やテレビやラジオにたくさん触れたり、英会話教室に通ったりして、英語に慣れてしまう方が習得も早いように感じます。数学であれば、論理的に理解する力を伸ばすとともに、各単元の反復した計算練習が重要になります。

伸び悩んだら受験対策よりも基礎学力

一方で、どんな科目であっても基礎的な事項の暗記、理解、反復練習をおろそかにして、雑多な問題演習を繰り返すだけでは実力は伸び悩みます。特に既卒生になると陥りがちですが、基礎を一通り終えているので既に基礎的な事項は理解していると思い込んでいたり、人間は覚えると同時に忘れていくものですから習熟度が落ちていることに気付かなかったりということもあります。そんな風に伸び悩んでいるときには、大学受験の得点という些末なことから目を離し、初心に返って将来に役立つしっかりとした学力を身に付ければ良いということを思い出し、基礎の復習や深掘りをしたり、国語であれば良書に手を伸ばしてみたり、英語であれば英語の本やマスメディアを利用してみたり、数学であれば疑問を持って調べたり考えたり、といった受験目当てでない当たり前の勉強法を取ることが遠回りのようでいて成績アップの近道になると思います。

以上のように、勉強計画、勉強量、勉強方法の3点くらいを意識しながら受験勉強に取り組んでみてはいかがでしょうか。これまで全く何も意識をせずにただ目の前の勉強に取り組んできた人であれば、それはそれで非常に大切なことですが、大学受験という土俵においてはそれなりの改善、効果が期待できるだろうと思います。

本サイトの内容

参考にする教科書

高校数学マスターが基本的に参考にするのは、数研出版の高校数学用の検定済教科書です。つまり、一般に使われている数研出版の教科書「数学Ⅰ(平成23年検定済)」「数学Ⅱ(平成23年検定済)」「数学Ⅲ(平成24年検定済)」「数学A(平成23年検定済)」「数学B(平成24年検定済)」「数学活用(平成24年検定済)」です。数研出版を選んだ理由は、内容が優れていることはもとより、高校で一番多く利用されている教科書のようだからです。できるだけ標準の教科書を選ぶことで、多くの読者の方と共通の土台で、考える力の養成について一緒に取り組んで行けるのではないかと思っています。加えて、普通の大学受験の問題作成者であれば、学生が何を学んできたのか、その標準となる教科書を意識しながら問題の作成をするはずなので、下手に大学受験やその他の目的に合わせて作られた教科書を利用するよりも、大学受験に真正面から対応する学力を付けられるのではないかとも思います。数研の教科書の発展問題あたりまでをきちんと理解する学力があれば、難関大の受験問題にも対応できるだろうとも感じています。

各ページの解説方針と活用法

高校数学の内容に習熟し、それを通して論理的に考える力を身に付け、受験に対応できる、さらには将来の研究、応用の土台にもなる学力をバランスよく養成してもらうという高校数学マスターの目的からして、標準の教科書を参考にしながら高校数学の基礎的事項をできる限り論理的に解説していくことが、その目的に資する最善の方法だろうと感じています。したがって、高校数学マスターの内容は、大学数学に踏み込むような発展的な内容をもっぱら取り扱うものではなく、その接続を意識しつつも教科書が省いている定義、背景説明、命題の証明を丁寧に多角的に示すものになると思います。実際、どの高校数学の教科書を読んでも短いページ数の制限により、様々な定義、背景説明、命題の証明がたくさん省かれており、高校生では納得して読むことはもちろん、疑問を呈しても納得する答えにはなかなかたどり着けないだろうと思われる内容になっています。必然的に、かなり教師が工夫をしなければ、分かったつもり、ひいては覚えるだけの勉強になっているだろうとも想像され、これでは数学の学問の本質、醍醐味、つまり、論理的に正確に考えることであったり、その結果の精密さや美しさを理解することができないだろうと感じます。

したがって、高校数学マスターの各解説ページは、高校数学の教科書を読んでいて疑問を感じたり、しっくり理解ができないときに読んでもらえれば、丁寧な定義、多面的な背景説明、隙のない証明を読むことができ、読むのに多少時間はかかるけれど好きなところを読み飛ばしながら読むこともできて、結果として深い理解を得られるというページ内容にしていきたいと思います。ちなみに、証明は優先順位として、論理的な飛躍なく、多面的に、簡潔に書くように心がけたいと思います。そして、何より各解説ページを読むことで「合理的に考える力」が自然と身に付いてくるようなページ作りを心がけたいと思います。

公開日:2019年1月30日
修正日:-