L&M個別オンライン教室~論理と数学とプログラミングのオンライン授業~L&M個別オンライン教室~論理と数学とプログラミングのオンライン授業~L&M個別オンライン教室~論理と数学とプログラミングのオンライン授業~

一般的な受験対策と東京大学・令和4年第2次前期・数学(理科)第一問の解説と解答

【目次】
0.はじめに
1.一般的な受験対策
 1-1.どのような内容がどのくらい使えるようになっているべきか
 1-2.どのように問題文を読み解答を考えればよいか
2.解説と解答
3.まとめと難問について

はじめに

今回は、過去問の第一回として「東京大学・令和4年(2022年度)第2次前期・数学(理科)第一問」の解説と解答を示します。できるだけ計算や論理に飛躍のないように、くわえて解説も含みますので解答としてはもっと簡潔に記載するようにしてください。誤記・誤答につきましてはご指摘を頂けますと幸いです。

東京大学の著作権保護のため問題文は下記のページよりご確認ください。
https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/admissions/undergraduate/e01_04_22.html

第一回目の過去問記事のため、以下、前置きとして一般的な受験対策についての解説を付したいと思います。

一般的な受験対策

この問題は一見、複雑な式に見えますが教科書の内容がきちんと頭に入っていれば、問題文の指示に素直に従うことで解ける問題です。第一問だけに①どのような内容がどのくらい使えるようになっているべきか、②どのように問題文を読み解答を考えればよいか、を示していると言えます。

どのような内容がどのくらい使えるようになっているべきか

①については、制限時間を考えると教科書の内容が隅々まで頭に入っていて計算を含めてすらすらと一見で教科書の問題を解けるようになっていることが必要となると思います。チャート式等の問題集で問題を解きなれていることは重要と思いますが、最後は教科書の内容を隅々まできちんと理解し、問題をすらすらと解ける状態になっているかを確認すると良いと思います。

特に、図形と方程式とデカルト、高校数学と科学の基礎について高校生でも分かるように微分積分学の基本定理の解説と証明で説明しているように、数学Ⅱの「図形と方程式」、数学ⅡⅢ「微分法と積分法」は現代科学の屋台骨ですので、必然的にその理解を大学入試でも求められることが多くなると思いますので、深い理解にくわえて問題演習をこなしたうえで最後に公式や計算法についてもすらすらと出てくるように復習しておくと良いと思います。実際に、東京大学の令和3・4・5年度第2次前期・数学(理科)をみるだけでもその傾向が読み取れると思います。

数学Ⅱの「図形と方程式」、数学ⅡⅢ「微分法と積分法」の問題では、当然その内容として多項式(数学Ⅰ2次関数、数Ⅲ式と曲線、数ⅡⅢ微分法と積分法、その他に分散)のみならず数学Ⅱ「三角関数」「指数関数と対数関数」を含むことが多くなると思います。このように科学史や現代科学の流れを踏まえて、東京大学に限らず受験する大学がどのような考えに基づいて出題をしているのかを過去問や公表されている出題意図等から分析し、優先順位を付けて受験対策をすると良いと思います。

ただ、受験対策期以外は基本を踏まえたうえで自分の好み、つまりは適性を重視して勉強を楽しむことが大切になると思います。これが各人の個性の伸長を促し多様な学術文化の基となるからです。機会均等確保は大原則となりますが、画一的な受験方式による過剰な受験対策で各個人が損耗することは、結局は個人としても大局的にも不利益が多いものです。望みの大学に進学できなくとも可能性は広大に開けていますので、基本と個性のバランスを大切にして粘り強く勉学を継続していくことの方が大切と思います。

どのように問題文を読み解答を考えればよいか

②どのように問題文を読めばよいか、については制限時間もありますので、まずは教科書に書かれた基本を思い出して問題文の指示に素直に従うことが大切だと思います。その上で、解けなければ何か問題に隠されたアイデアを求めて試行錯誤をしてみると良いと思います。輝くような個性を持った方ほど逆になりがちなので、この順番を間違えないようにしましょう。

なぜならば、時間制限のある通常の試験ではどうしてもその出題意図は、第一に基本を身に付けて正確に迅速に計算・活用できるか、そして論理的に思考できるか(ただし、浅めの論理性)をみることになり、深い論理性や独自性、さらには特別なアイデアを持っているかということはなかなか計ることはできません。したがって、問題もそのようにできていると想定して構わないと思われるからです。

いくらかは後者を計る出題をすることはあっても、受験者に点数・成績を上手く付けて選考するためには大勢を占めることはできないと思います。たとえば皆が50点以下(100点満点中)の試験は試験としては失敗になるからです。つまり、みんなが同じような点数に並んでしまっては合否選考の尺度とならないのです。

そのため、よく言われることかと思いますが、あまり知られていない発想が問われるような難問は、他の受験者も時間制限内に解けない可能性が高いので選抜試験に採用しにくいのです。くわえて、数学の面白い内容を出題したい難問に仕立てたいとしても、多少専門性が高まる知識、あるいは、学習指導要領のグレーゾーンの知識を問うことが、必ずしも未完成な才能ある受験者を選考することにもつながらないという一定の懸念も働くものです。

そのため、どの大学の過去問についても初めて解いてみたときに、「教科書に書かれた基本を思い出して問題文の指示に素直に従って解いてみて」、どの問題もなかなか解けないということであれば、その大学が受験者たちの選抜のために要求せざるを得ない「教科書に書かれた基本を身に付け」、「それらを論理的に組み合わせて用いる」能力の度合いに達していない可能性が高いと考えられます。

特に、まったく手が付かないのであれば、それは決して試行錯誤が足りないとか発想がないとかではなく、主に「教科書に書かれた基本を身に付け」ていない、あるいは忘れているのだと思いますので、その場合には教科書を開きながら問題を解いてどのような基本的な知識が自分に身に付いていないか、あるいは思い出せないかを確認してみると良いと思います。そうすると、どの程度の内容とアウトプットを求められているのかが分かり、その後の受験対策の方針も付くはずです。

結局は、何か自分には理解できない、あるいは思い付かないものがあるという結論ではなく、おおむね「試験の潜在倍率が高くなるとそこまで基本を徹底する必要があるのか、試験科目全体を見直したうえで、優先順位を付けて教科書を読み直し問題集を解き直そう」あるいは「自分に合った大学、試験制度を選ぼう」という結論に落ち着くだろうと思います。

解説と解答

さて、前置きが長くなってしまいましたが、以上のことを確認しながら解説と解答を示していきたいと思います。つまり、教科書に書かれた基本を思い出して問題文の指示に素直に従うことで、第一問が解けることを一つ一つ確認したいと思います。

まずは、一つ一つ確認しながら問題文全体を読みましょう。関数\(f(x)\)は、三角関数と対数関数、積分が混ざった複雑な関数です。ただ、複雑だなというところで思考停止してはいけませんし、次の小問(1)が大事になります。通常の小問は、数学や科学の論理的な思考方法と同様に、問題全体の補助ステップの役割を果たしていますので、大事なヒントだと思ってその後の問題との流れを意識して読みましょう。

小問(1)は、最小値の存在を示すように求めています。関数\(f(x)\)の最小値の存在を示すためには、座標におけるグラフの概形が分かればよく、そのためには高校数学の教科書(詳しくは、高校数学マスター基本方針:参考にする教科書を参照ください。以下同じ。)の数学Ⅱ第6章「微分法と積分法」第2節「導関数の応用」5.「最大値・最小値」で学んだように微分をするのでした。

小問(2)は、最小値を求めるようにとありますので、そのまま「最大値・最小値」の問題であることが分かります。基本からすると最小値の\(x\)座標が分かればすぐに最小値も分かりそうなものですが、わざわざ小問二つに分けてありますので、何か工夫が必要なのかなと一瞬頭によぎるかもしれませんが、まずはあれこれと工夫をする前に「教科書に書かれた基本を思い出して問題文の指示に素直に従うこと」を大切にして小問(1)を解き始めてください。

つまり、グラフの概形を知るために関数\(f(x)\)を微分してみます。そのときに、
\[\int_{0}^{x} (\cos t)\log (\cos t)dt\]
の定積分部分が微分できないなと感じたとすると、数学Ⅱ第6章「微分法と積分法」第3節「積分法」8.「定積分」D.「定積分と微分法」(p.218)の内容が入っていない、というよりも先ほども紹介した高校生でも分かるように微分積分学の基本定理の解説と証明で説明されている積分についての基本的な理解が不足していると思います。

\[\frac{d}{dx}\int_{0}^{x} (\cos t)\log (\cos t)dt = (\cos x)\log (\cos x)\]

なのでした。つまり、\(\int_{0}^{x} (\cos t)\log (\cos t)dt\)は関数\((\cos x)\log (\cos x)\)の一つの原始関数あるいは不定積分の表現の仕方です。次に、

\[(\cos x)\log (\cos x)\]

は、数学Ⅲ第5章「微分法」2.「導関数の計算」B.「積の導関数」(p.152)で\((\cos x)\)と\(\log (\cos x)\)をそれぞれ微分し、\(\log (\cos x)\)の部分はさらに数学Ⅲ第5章「微分法」2.「導関数の計算」D.「合成関数の微分法」(p.156)を使って微分することになります。したがって、

\[((\cos x)\log (\cos x))’=-\sin x\log (\cos x)+\frac{\cos x\cdot (-\sin x)}{\cos x}=-\sin x\log (\cos x)-\sin x\]

となります。したがって、関数\(f(x)\)全体の微分は、

\[f'(x)=-\sin x\log (\cos x)-\sin x+\sin x+(\cos x)\log (\cos x)=(\cos x-\sin x)log (\cos x)\]

となります。\(x\)の動く範囲は\(0 \leq x < \frac{\pi}{2}\)でしたので、右の\(\log\)部分の中は\(1 \leq \cos x < 0\)と動き、したがって右の部分は\(0 \leq log (\cos x) < -\infty\)と負になることが分かります。この点に疑問がある場合には、数学Ⅱ第4章「三角関数」や数学Ⅱ第5章「指数関数と対数関数」を復習しましょう。

左の\((\cos x-\sin x)\)の部分は、数学Ⅱ第4章「三角関数」第2節「加法定理」8.「三角関数の合成」により\((\cos x-\sin x)=(a\sin x+b\cos x)\)と考えて、\(a=-1, b=1\)とおき、

\[r=\sqrt{a^2+b^2}=\sqrt{(-1)^2+1^2}=\sqrt{2}\]

の円を考え加法定理の公式が使えるように変形すれば、

\[(\cos x-\sin x)=\sqrt{2}(\sin x(-\frac{1}{\sqrt{2}})+\cos x\frac{1}{\sqrt{2}})=\sqrt{2}(\sin x\cos \frac{3\pi}{4}+\cos x\sin \frac{3\pi}{4})=\sqrt{2}sin (x+\frac{3\pi}{4})\]

となります。そうすると、\(x\)が\(0 \leq x < \frac{\pi}{2}\)と動くとき、\(\sqrt{2}sin (x+\frac{3\pi}{4})\)は左から単調に\(1 \geq \sqrt{2}sin (x+\frac{3\pi}{4}) > -1\)と正から負に動き、\(x= \frac{\pi}{4}\)で\(0\)となることが分かります。そうすると、

\[f'(x)=\sqrt{2}sin (x+\frac{3\pi}{4})log (\cos x)\]

は、\(x\)が\(0 \leq x < \frac{\pi}{2}\)を動くとき、右部分が常に負(-)で左部分が正(+)から負(-)に動くので、全体として負(-)から正(+)に動き、\(x= \frac{\pi}{4}\)で負(-)から正(+)に切り替わるということが分かりました。

導関数の値は、関数の傾きでしたので以上から関数\(f(x)\)は、\(0 \leq x < \frac{\pi}{2}\)の範囲にて、平行な傾きから始まり、すぐに下向きに曲がって\(x= \frac{\pi}{4}\)で再び平行となり、すぐに上向きに曲がってその後ずっと上向きのままであることが分かります。したがって、関数\(f(x)\)は\(x= \frac{\pi}{4}\)で最小値を持つことが示せました。

次に小問(2)は最小値を求めよとあります。上記で最小値の位置が\(x= \frac{\pi}{4}\)と分かっているので、そのまま代入してみましょう。そうすると、

\[f(\frac{\pi}{4})=\frac{1}{\sqrt{2}} \log (\frac{1}{\sqrt{2}}) – \frac{1}{\sqrt{2}} + \int_{0}^{\frac{\pi}{4}} (\cos t)\log (\cos t)dt\]

となりますので、前半はすぐに計算でき後半の積分計算を行えば良いと分かります。対数関数が入っていますので対数関数を消す積分計算は数学Ⅲ第7章「積分法」第1節「不定積分」3.「部分積分法」でよくあったことを思い出せれば、三角関数のみの積分に持ち込もうと見当が付きます。

\[\int_{0}^{\frac{\pi}{4}} (\cos t)\log (\cos t)dt = \left[(\sin t)\log (\cos t)\right]^{\frac{\pi}{4}}_{0} – \int_{0}^{\frac{\pi}{4}} \frac{-\sin^2 t}{\cos t}dt\]

前半は代入すれば、

\[\left[(\sin t)\log (\cos t)\right]^{\frac{\pi}{4}}_{0} = \frac{1}{\sqrt{2}} \log (\frac{1}{\sqrt{2}})\]

とすぐに出て来ますので、問題は後半ですが三角関数の積分なので数学Ⅲ第7章「積分法」第1節「不定積分」4.「いろいろな関数の不定積分」B.「三角関数に関する不定積分」を思い出せば、\(\sin^2 t\)と2乗なので置換積分は工夫しないとできそうにないなと分かって、ただ\(\sin^2 t=1-\cos^2\)を使えば教科書(数学Ⅲp.226)で出てきた\(\frac{1}{\cos t}\)の積分計算に持ち込めそうだとの目算が付き、次のように計算します。(そのまま\(\frac{\cos t}{\cos t}\)を掛けてすぐに置換積分に持ち込むこともできます。)

\[\int_{0}^{\frac{\pi}{4}} \frac{\cos^2 t-1}{\cos t}dt=\int_{0}^{\frac{\pi}{4}} \cos t – \frac{1}{\cos t} dt = \left[(\sin t)\right]^{\frac{\pi}{4}}_{0} – \int_{0}^{\frac{\pi}{4}} \frac{1}{\cos t} dt \]

前半は、

\[\left[(\sin t)\right]^{\frac{\pi}{4}}_{0} = \frac{1}{\sqrt{2}}\]

となります。最後に、後半は教科書で学んだ通り\(\frac{\cos t}{\cos t}\)を掛けて置換積分をし、数学Ⅲ第7章「積分法」第1節「不定積分」4.「いろいろな関数の不定積分」A.「分数関数の不定積分」の計算に持ち込みます。

\[\int_{0}^{\frac{\pi}{4}} \frac{1}{\cos t} dt = \int_{0}^{\frac{\pi}{4}} \frac{\cos t}{\cos^2 t} dt = \int_{0}^{\frac{\pi}{4}} \frac{\cos t}{1 – \sin^2 t} dt\]

\(u = \sin t\)と置くと、\(du = \cos t dt\)で\(u: 0 \rightarrow \frac{1}{\sqrt{2}}\)となるので、

\[\int_{0}^{\frac{\pi}{4}} \frac{\cos t}{1 – \sin^2 t} dt = \int_{0}^{\frac{1}{\sqrt{2}}} \frac{1}{1 – u^2} du = \int_{0}^{\frac{1}{\sqrt{2}}} \frac{1}{2}(\frac{1}{1 + u} + \frac{1}{1 – u}) du = \frac{1}{2} \left[ \log |1+u| – \log |1-u| \right]_{0}^{\frac{1}{\sqrt{2}}} = \frac{1}{2} \log \frac{2+\sqrt{2}}{2-\sqrt{2}}\]

以上を\(f(\frac{\pi}{4})\)に代入すると、

\[f(\frac{\pi}{4}) = \frac{1}{\sqrt{2}} \log (\frac{1}{\sqrt{2}}) – \frac{1}{\sqrt{2}} + \frac{1}{\sqrt{2}} \log (\frac{1}{\sqrt{2}}) – (\frac{1}{\sqrt{2}} – \frac{1}{2} \log \frac{2+\sqrt{2}}{2-\sqrt{2}})=\sqrt{2} \log (\frac{1}{\sqrt{2}}) – \sqrt{2} + \frac{1}{2} \log \frac{2+\sqrt{2}}{2-\sqrt{2}}\]

となり、

\[\sqrt{2} \log (\frac{1}{\sqrt{2}}) – \sqrt{2} + \frac{1}{2} \log \frac{2+\sqrt{2}}{2-\sqrt{2}}\]

が\(f(x)\)の最小値になると分かりました。

まとめと難問について

上述のように、あくまでも時間制限のある受験ですので時間のかかる試行錯誤を行う前に、「教科書に書かれた基本を思い出して問題文の指示に素直に従って解いてみる」ことが正答率も上がり時間の節約にもなるでしょう。それでまったく手が付けられないという場合には、何か自分には思い付かないものがあるのではなく、教科書に書かれた基本が身に付いていない可能性が高く、教科書を開いて確認してみてください。それでも分からなければ、他の受験生も手が付きにくい難問だったという可能性が高いと思います。

試験本番であれば、試行錯誤が不要な手の付く問題から解けるところまで解き、その試験の目標設定をにらみながら試行錯誤あるいは検算・補足をするかを決めると良いと思います。

あと、仮に教科書の内容は計算も素早くできるようになってきちんと身に付いているのに、どうも試験問題が解けないという場合には、論理的に、つまり、この場合は一つ一つ順序よく教科書の内容を組み合わせて用いる考え方(推論)がまだ出来ていないのだと思います。一つ一つ順序よく教科書の内容を組み合わせることを意識して問題集を解き直してみてください。

ここまで特に東京大学の受験対策には基本の徹底が必要になることを説明してきましたが、とはいえ、出題意図にもある通り、例年それだけでは解けないだろう難問が出題されていることも事実であると思います。したがって、さらに加点を望む余力があるのであればですが、試行錯誤を要する難問を解くには論理的に問題を分析する能力が求められますから、論理的に考えるとはどういうことかを合理的に物事を考える方法:4.デカルト論理とは何か、命題、集合と推論規則についてで学んで身に付けると良いと思います。

かなり学習が進んでいれば、大学内容の数学を学ぶことでより視野が広がり論理性が深まるということはあるかと思いますが、受験対策だけのためにそれを行うことはコストもリスクも多いので一般的にはお勧めしません。受験対策のためだけならば他の科目の勉強をした方が良いでしょう。もう一つの理由としては、大学内容の数学を勉強している間に高校数学の細かな内容を忘れることもあります。

くわえて注意点としては、そもそも分析とは深ければ深いほど通常はゆっくりと時間をかけて行うもので、時間制限のある試験において要求される分析力というのは浅いけれど素早い分析力です。その点を考慮しながら、上記ページでも解説している論理的な思考力を日頃の教科書の理解や問題集の演習の際に意識して訓練すると良いと思います。

例えば、疑問と推論(演繹)を意識することから始めて、難問を分割して再構築すること、様々な概念同士の関係がどうなっているかを明確にすること、全体を意識的に把握すること、多様な視点で物事を見直すこと、などです。本来は、出題意図にもある通り、基本の徹底も大切ですがこちらの数学を十分に活用するための能力として深い論理的な思考力を訓練することも同じくらいにとても大切なので、受験対策でなくとも十分に学ぶ価値のある内容です。ただ、時間制限のある一回の筆記試験で問うにはどうしても難問となり、選考試験としての役割を果たしにくいという話は繰り返しになります。

作業や状況によって求められる能力は異なると思います。受験問題が解けたとしても分析力があるとか、深い思考力があるという話には必ずしもつながらないことに注意をしましょう。特に、研究等の場合には前提を問う、粘り強く深い思考力や各人が培かう多様で個性的なアイデアが必要になってくると思います。そのため、受験が上手く行ったからといって油断せず、受験が上手く行かなかったからといって落胆せずに学業を続けると良いと思います。

公開日:2023年4月10日
修正日:-

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


The reCAPTCHA verification period has expired. Please reload the page.

※このサイトはreCAPTCHAによって保護されています。そのためGoogleのPrivacy PolicyTerms of Serviceが適用されます。